大判例

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名古屋地方裁判所 昭和44年(ワ)1364号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被告の抗弁の意味は、訴外株式会社名古屋商会が原告の遡求に応じて支払いをしたというのか、原因債権の支払いをしたというのか判然としないが、証人高橋秀雄の証言によると、原告は、右名古屋商会に対する売掛金の支払いとして、同商会より本件手形の裏書を受けたこと、同商会は昭和四三年二月二九日倒産したこと、原告は当時同商会に対し、金一五三万一六四五円の債権(その中には、本件手形の裏書の原因関係たる債権も含まれている。尚、右倒産時には、本件手形は、満期日到来でいまだ不渡りになつていない)を有していたこと、原告は、同年九月二五日までの間に、同商会の債権者整理委員会より右金一五三万一六四五円の四六パーセントの金員の支払いを受け、同商会に対し、その余の債権を放棄したこと(但し、廻り手形につき他の手形債務者に請求することは妨げない)が認められ、右認定に反する証拠は存しないところ、(1)右事実関係からは本件手形の遡求債権もしくは原因債権の金額の弁済があつたとは認められないし、(2)また本件手形につき四六パーセントの弁済があつたということも弁済充当に関する要件事実の主張立証のない本件では認めがたいし、(3)仮りに本件手形につき四六パーセントの弁済があつたとしても前記事実関係のもとにおいては、振出人たる被告は、所持人たる原告に対し、裏書人による右弁済を主張して、本件手形金の支払いを拒むことができないと考えられる。けだし、前記事実関係のもとでは原告が被告より本件手形金全額の支払いを受けたところで、原告と前記名古屋商会の間においては、同商会には損失がなく、両者間で不当利得ないし損害賠償による事後的調整の必要が考えられず、かつ原告には本件手形金全額の支払を振出人に求める経済的利益が存するからである(最高裁判所大法廷昭和四三年一二月二五日判決は本件と事実を異にする)。したがつて、被告の抗弁は、理由がない。(笹本忠男)

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